誰が無名の12歳の少年が作成したNFTアート作品を4,000万円分も買っているのか?

誰が無名の12歳の少年が作成したNFTアート作品を4,000万円分も買っているのか?

ロンドン郊外の12歳の少年、Benyamin Ahmed,(ベンジャミンアーメド)が、オープンソースのPython(パイソン)スクリプトをカスタマイズしてクジラをモチーフにした3,350点のピクセルアート”Weird Whales”を作成した。彼は2021年7月19日世界最大のNFTマーケットプレイスであるOpen Sea(オープンシー)で販売。9時間以内に完売して約1,700万円の売り上げを達成。現在までに累積で4,000万円の売上になっている。

 

NBAのシュートの瞬間動画をNFT化し販売しているTopShot(トップショット)の購入者像はNBA好きの人達であろうという想像がつくが、無名の12歳の少年の作品を高額で購入する人の顔は見えない。そこで、Weird Whalesの購入者の像について洞察してみた。

 

まずはじめにプラットフォームとなっているOpenSeaについて考察した。1ヶ月のウォレットアドレス数(購入者数)は15万、Discord(コミュニティ運営のプラットフォーム)のコミュニティ数は8万人。トランザクション数(販売回数、購入回数、譲渡回数、リスト回数などの合算数)は174万、売買ボリュームは約2,000億円、作品数は1,894万点、平均売買単価は約11,000円となっている。

これらの数字から、コアなコミュニティの実態は8万人で、一人平均240のコンテンツを保持しており、毎月22回ぐらいのトランザクションをつくりだしている(1〜2日に1回のペースで販売、購入、譲渡、リストなどのアクションをしている)と推定。

 

Open Seaは世界最大だが、8万人という数字はグローバルコミュニティとしてはかなり小さい。日本で一番人口が少ない人口55万人の鳥取県の7/1の大きさだ。この小さな村では、1ETH は33万円や3,000ドルではなく1ETHは1ETHとなっており法定通貨での換金は意識されていないのか、全体的に価格設定は驚くほど高めになっている。

この村に米国で人気のNBA 選手 、LaMello Ball、Tyrese Haliburton 、Josh HartやボクサーのMikeTysonなどの有名人が訪れて、NFTを購入して、Twitterのアバターとして使い始めている。また巨大企業VISAもこの村のゲストとして、1,600万円の作品を購入したりといったネタが売買ゲームを盛り上げている印象だ。

 

 

 

 

 

Weird Whalesの、売買ボリュームは4億円。ウォレットアドレス数は1,400、作品数3,350点、トランザクション数は7月19日の発売日から8月25日までで1万回(販売数、譲渡数、リスト数などの合算数)、平均売買単価は12万円。購入者数1位の所有数は154点、2位69点、3位52点となっており、上位10人で530点保有、一人平均53点を保有している。

 

また、上位10人の購入者がWeird Whalesに加えて他の作品も含めて所有している総作品数は最小で69点で、最大で4,700点となっており平均で1,000点となっている。

つまり、Weird Whalesのヘビー購入者の像としては、Weird Whaleを50点、その他の作品を950点、合計で1,000点もっているということになる。

OpenSea全体では購入者は1人240点に対して、Weird Whalesに投資している購入者は1,000点なので、Open Seaの中でもコアな購入者であることがわかる。

つまり、Open Seaの8万人の購入者の中でも上位の超ヘビー購入者を中心に1.8%の人がWeird Whalesに投資しているのだろう。また、OpenSea全体での平均売買単価が11,000円に対してその12倍の120,000円となっている点も興味深い。

 

結論として言えるのが、Weird Whalesのホルダーは1,000作品を持ち、平均の12倍の高額で売買をし、毎月20回の取引をしている人であるという事は、コレクターではなく、Open Seaというマーケットプレイスで本業として活動している著名な画商であり、消費者ではなく投資家であろう。

 

再販売価格に大きな影響を与えるのは、アートとしての価値というよりは、12歳の少年がエンジニアとしてIPFSにコンテンツを保存し永続的な保管の価値まで十分に配慮したコンテンツをプログラムで作成し、12歳にもかかわらず他の人の作品も42点所有し、しっかりとコミュニティの一員となっているといったストーリーだ。New York Timesなどの大手メディアにも取り上げられ、NFT画商に刺さったと考えると理解できる。

Weird Whalesはまさに、Weird Seaでこそ生き生きと生息できるクジラなのであろう

 

(マザー中村)