NFTブームに隠れた7つの大きな課題(1)NFT関連事業者が知っておくべき事

NFTブームに隠れた7つの大きな課題(1)NFT関連事業者が知っておくべき事

2017年11月にカナダのDapper Labs(ダッパーラボ)がCryptoKitties(クリプトキティ)で一大ブームをつくって以来、比較的静かだったが、昨今同社が仕掛けたNBA Topshotや、マイクタイソン、パリスヒルトン、エミネム、ミックジャガーなどのNFTも参加してきて8月に第二のNFTブームが吹き荒れた。

同時に事故も増えてきており、世界最大のNFTプラットフォームであるOpenSea(オープンシー)では、社員による不正なインサイダー取引やイーサリアム上の自分のアドレスを短くわかりやすくするENS Domainsがバグによって紛失したりといった事が続けて起こった。

これは、技術が成熟する速度よりも需要の増加の方がはるかに大きくなるときによくある現象だ。

また、取引ボリュームについても、8月28日の3億ドルに対して、9月12日5,200万ドルと1/6まで落ち込みNFTバブルが崩壊したといったニュースが流れた。

実は取引ボリュームも月ベースで見ると違う景色が見えてくる。4月が0.9億ドル、5月が1.3億ドル、6月が1.4億ドル、7月3.2億ドル、8月34億ドルで、9月は17日の時点で既に18億ドルとなっている。(9月18日数字修正)

つまり、8月は7月の10倍も伸び、さらに9月も月ベースで比較すると8月とほぼ同じペースとなっており実は減っていないのだ。

(Dune Analyticsによる)

2次元のアート作品だけでなく、著名NBA選手のシュートの瞬間の動画や、音楽アルバム、SNS投稿の他、Twitterのアバターやメタバース関連のゲームアイテムとして、数百万円もする土地、アイテム、キャラクターが買われ、またイーサリアム上の自分のアドレスを短くわかりやすくするENS Domainsや、NFTをリアルな商品に交換できるBurnNFT(権利としてのNFTで交換時に消滅させる)も売買されている。

 

NFTは間違いなく大きな可能性を秘めているが、一方で魔法の杖のように考えて誤解している人が多いのも事実。そこで正しくNFTを理解するために、NFTが抱える大きな課題について7つの切り口で洗い出してみた。

1.永続性

2.無権限発行

3.セキュリティ

4.転売時のロイヤリティ

5.所有権

6.法の適応

7.ガス代(手数料)

 

なお、NFTはノンファンジブルトークン(非代替性トークン)という意味で、その定義は人によってまちまちだが、ここではNFTの定義として「唯一性、真正性が確認できる資産性を持ったデジタルコンテンツ」という前提で考えてみたい。

 

1.永続性

まず所有権の永続性についてだ。数千万円や数億円するNFTも存在しており、一度所有したNFTは、永遠に自分の所有となるべきだが、実はこれを実現できるNFTは限られている。

自分の所有であるを事を証明してくれるデータ(実態はハッシュ値)が書き込まれているブロックチェーンが止まってしまったら、当然アクセスできなくなり、自分の所有を証明することはできなくなる。つまり永遠に自分の所有にするためには、書き込むブロックチェーンは大前提として今後100年以上続きそうなチェーンであることが重要となる。

長く続く可能性を持ったブロックチェーン識別のポイントは”規模”と”非中央集権”だ。ブロックチェーンには、中央集権寄りから非中央集権寄りまで、それぞれプライベートチェーン、コンソーシアムチェーン、パブリックチェーンの3種類がある。中央集権寄りのブロックチェーンは1社または少数の組織で運用され、彼らの意思や都合で停止する可能性がある。仮に大手企業が運用していたとしても方針転換で、事業を廃止する可能性を否定できない。グローバルで人気となっている世界最大の暗号資産取引所が運用しているバイナンンスチェーンも中央集権寄りだ。真逆の非中央集権よりで世界最大なのがビットコインだが、ビットコインはNFTの発行および流通ができないためイーサリアムが最大となっている。つまり現時点ではイーサリアムに書き込むのが一番永続する可能性が高いと言える。

ちなみに、グローバルでイーサリアム以外で使われているチェーンとしては、Polygon、Ronnin、Flow、WAXなどがあるが、販売ボリューム上位100のプロジェクトの中で、Polygonは4プロジェクト、Ronninが1プロジェクト、Flowが1プロジェクト、WAXが8プロジェクト、残りの84プロジェクトは全てイーサリアムとなっている事からも永続性の視点を考えているプロジェクトが多いことがわかる。

 

永続性の視点で、もう一つ大事な事は静止画、動画、音声などのコンテンツそのものを保管する場所の問題だ。実はブロックチェーンに書き込まれるデータは小さなデータ(ハッシュ値)であり、コンテンツはオフチェーンの別の場所に保管されている。

所有権に紐づいたデータを永続性の高いブロックチェーンに書き込んでも、コンテンツが保管されているストレージが止まったら、肝心のコンテンツへのアクセスはできなくなる。手元のビューワーで表示されたコンテンツが消えてしまうというわけだ。

NFTプラットフォームのコンテンツの保管場所として使われているのが、中央集権型のいわゆるAWSなどのクラウドストレージと非中央集権のIPFSなどの分散型ストレージだ。

AWSなどのクラウドストレージは、当然の事ながら、有料サービスなのでそのサーバーの契約が無くなったら停止されアクセスできなくなる。つまり運用主体が永遠に費用を支払い続ける必要があり、またクラウド事業者もサービスとしてストレージを永遠に提供しつづける必要があるのだが、いずれもユーザーは信じるしかない。

この課題解決としては登場したのが、IPFS、Arweave 、Filecoin、 Stoj、Siaなどの自律分散クラウドストレージだ。自律分散クラウドストレージは、保管するストレージが1箇所ではなく、複数に分散させており、全てのストレージが停止しない限りそのコンテンツへのアクセスができる。IPFSも永遠に保管してもらうためには、それなりの支払いが必要となるが、運営サイドだけではなく、自分で払う事ができる事がポイントだ。IPFSのノード運用さえ続き、かつ自分で払い続ければそのコンテンツは永遠に保全できる。

ちなみに、2017年12月に米国で誕生した世界最大のNFTプラットフォームであるOpenSeaは、IPFSではなく自社のクラウドストレージにコンテンツを保管しており、彼らが事業を停止したら、コンテンツは消滅して永遠にコンテンツへのアクセスはできなくなる。NFT生成時に分散ストレージに書き込むといった説明がついているFreezingというオプションがあるが、実際にはワークしておらず、分散ストレージへの書き込みはされていない。同様のNFTプラットフォームである2020年に米国で登場してきたRaribleはIPFSを使っており、同年ドイツで誕生したMintbaseはArweaveをつかっている。RaribleとMintbaseは彼らの意思でコンテンツにアクセスできなくなることはない。ただしMintbaseはイーサリアムではなくNEARを使っている点に不安は残る。

2.無権限発行

NFTは、NFTの発行元とコンテンツを紐づけることによって本物認証を行なっているが、すでに発行されているコンテンツをコピーして、自分を発行元として勝手に発行する事ができる。NFTの技術はデジタルコンテンツのコピーを防げるわけではなく、あくまで、発行元とコンテンツの紐付けだけなので、コピー問題はノータッチだ。

具体的にはNFTマーケットプレイスにリストされているデジタルコンテンツを無断でコピーして、自分のNFTコンテンツとして、なりすまして発行することが簡単にできてしまう。無断コピーによる無権限発行だ。

バンクシーの偽物NFTを34万ドルで掴ませられたといった事件もOpen Seaで実際に起こっている。

この課題を解決するためには、発行元が本物であるという事を認証する必要がある。この対策として現状のNFTマーケットプレイスのアプローチは、NFTの販売者に対して運用サイドでSNSを確認して本人確認をしたりして審査をしている。審査を通貨したユーザーやクリエイターはユーザーが判別できるように本人のアバターアイコンにチェックマークをつけて保証をしている。

 

ブロックチェーンの技術だけではその人物がそもそも本人なのかという事を確認することはできない。本質底な解決策としては、パスポートなどの本人確認IDを使った俗人的なKYC(本人確認作業)をやる必要があるだろう。

 

ICOVO社では、NFTに興味をお持ちのクリエイター・アーティストおよび関連事業者に対して受託まはた成功報酬でプロジェクト構築から運営までトータルに支援をしています。

お気軽にお問い合わせください。contact@icovo.co

 

ICOVO 山瀬

 

3.セキュリティに続く(次回)