米国のETFはエルサルバトルの法定通貨化よりビットコイン価格への影響力は1000倍。

米国のETFはエルサルバトルの法定通貨化よりビットコイン価格への影響力は1000倍。

SEC(米国証券取引委員会)によるビットコインのETF(上場投信信託)が注目されているので、米国ETFのビットコイン価格に対する影響力を改めて整理してみたい。

 

ビットコインに関わらず、金融商品は、買う人が増えると買い圧が増加して、価格は上昇する。ビットコインが2018年12月に200万円まで上昇した理由は、日本人の個人投資家の参加増加が大きな要因と言われている。日本では2018年の秋ぐらいから暗号資産取引所のテレビCMが放送されるようになり、急激に投資家が増えて買い圧が増えたからだ。

一方2021年4月の700万円までの上昇は、米国の機関投資家(プロの投資家)の参加が要因と言われている。投資金額が個人とは桁違いの大きな金額での投資が行われる機関投資家の参加はビットコインへの価格インパクトが大きい事ことがわかる。

つまり、価格上昇のトリガーになっているのは参加者の増加だ。暗号資産を購入するためには、暗号資産取引所で口座を開設して売買する必要があり、暗号資産をよく知らない人にとってはハードルが高い。このハードルを下げるのに有効なのがETFというわけだ。ETFは暗号資産取引所に口座を持つ必要がなく、株式投資の経験がある人なら株式投資と同じ要領で証券会社を通じて売買できるため、間接的ではあるがビットコインの投資家が一気に増えるというわけだ。

 

ビットコインのETFはすでに、2021年2月にカナダのトロント証券取引所で承認されているが、このETFの上場がビットコイン価格への影響が限定的なのは、地域別のETP(ETF+ETC+ETNの合計)資産残高を見ると、米国70%に対してカナダはわずか2.4%となっており、カナダのETFは米国のETFに比べてサイズ感が1/35しかないからだ。

 

また、NASDAQ上場企業のウイリス・タワーズワトソンと米国の主要運用専門誌であるペンションアンドインベストメントが共同で実施した世界の運用会社資産規模トップ500社の調査レポートによれば、世界の運用資産規模トップの運用会社ランキング上位20社のうちで、米国市場向けが上位トップ10の中で8社、20位までになんと15社も入っている。

ちなみに、1位のBlackRockは$7,429,632(百万USドル)となっている。対してアジア・パシフック地域の運用資産規模トップの運用会社ランキング1位は三井住友トラスト・ホールディングスで$928,145(百万USドル)となっており、アジアは米国のわずか1/8の規模しかないことがわかる。

 

エルサルバトルがビットコインを法定通貨にすると表明しており、1つの国の通貨がビットコインになるという事が、ビットコインの大きな買い圧につながりそうに感じるが、GDPを見た時に、米国$22,675,271(百万USドル)に対してエルサルバトルはわずか$26,277(百万USドル)で米国の1/870、わずか0.1%しかない。

エルサルバトルでビットコインを法定通貨になっても、その影響は米国のETF承認と比較すると無視できる程度ということがわかる。少し乱暴だが米国のETFはエルサルバトルの法定通貨化よりビットコイン価格への影響力が1000倍とも言えそうだ。

 

つまり、世界経済は中国が躍進してきているとはいえ、まだまだ米国が圧倒的な存在となっており、米国のETFにビットコインの価格は大きく影響を受けるということだ。

 

また、ひとくくりにETFと言っても、その種類によってビットコインへの影響度がだいぶ違う。簡単に言えば、現物のビットコインに直接投資する金融商品と、ビットコイン関連会社の株式へ投資するといった間接的に投資する金融商品がある。間接投資の一つである株式投資の場合にはその企業の業績が一番大きな指標となるため、ビットコイン価格への影響力は弱くなる。

前者の現物のビットコインに直接投資するETFの中でSECに対して申請が出され、特に注目されているがの、「Global X」、「Valkyrie」、「WisdomTree」、「Kryptoin」、「VanEck Bitcoin Trust」だ。

いずれも承認されておらず審査期間延長が発表されている。「Global X」が11月21日、「Valkyrie」が12月8日、「WisdomTree」が12月11日、「Kryptoin」が12月24日、「VanEck Bitcoin Trust」が11月14日だ。

 

また、後者のビットコインやイーサリアムに直接投資するのではなく、関連している企業への投資が含まれているETFは「Invesco Alerian Galaxy Crypto Economy ETF」「Invesco Alerian Galaxy Blockchain Users and Decentralized Commerce ETF」「Volt Bitcoin Revolution ETF」であり、いずれもSECに承認されている。

 

つまり、現在SECに承認されているETFはビットコインへの価格影響力が弱いETFであり、価格影響力が強いETFはまだ承認されておらず、11月に入らないと結果が出ないということだ。

 

(マザー中村)